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こんな夢を見た

本数の少ないローカル線の発車時刻が迫っているのに駅が見つからない。苛立ちながら人気のない商店街を彷徨ううち、雑居ビルの階段に「駅への近道」と手書きの張り紙を見つけて駆け上がるが、そこは三面の壁に革張りのソファが並んだ行き止まりの部屋だ。
 見回すとソファの背後の窓の向こうが廊下になっている。ソファを乗り越え、アルミサッシの敷居をまたいでリノリウムの床の廊下に出る。どこからか、発車が近いことを告げるアナウンスが聞こえてくるが、遠くて方角も定かではない。焦って無人の廊下を右往左往していると、同じように迷っているらしい制服の女子高生が走ってきた。
 廊下の角を曲がるとそこは玄関のような場所で、外は小学校の校庭ほどもある広場になっている。その彼方に朱色のディーゼルカーが停まっているが、脇に立った車掌は時計をにらみ、いまにもドアを閉めようとしている。無言のまま女子高生と並んで全力で走る。走っても走ってもコンクリートブロックの敷き詰められた広場は続き、列車は遠い。
 息を切らせてたどり着くが車内は黒い制服がぎっしりと詰まっている。構わず押しのけて乗り込んだ途端に背中でドアが閉まり、夢から引き剥がされて朝のベッドに転げ落ちる刹那、八分音符で連打されるバスドラムになった自分の心臓を聴いた。

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